人気の高いモータースポーツ・イベントの一つが今年は開催されなかったため、ランデヴー物語である今回の映画がそれに代わる役割りを果たします。
シングルシーターのレースを過去65回続けて開催してきたサーキットにおいて主役を務めるのは、SF90 Stradaleです。この量産型オンロード・モデルは、フェラーリが同社史上初めてパワートレインにハイブリッド・システムを搭載した1台であり、最高出力1000 CVを発生するV8エンジンのパワーとパフォーマンスがグランプリの興奮を鮮やかに蘇らせます。昨年発表されたものの、路上でのテスト走行はまだ行われていなかったため、モナコGPのサーキットがこの最新モデルの性能を試す格好の機会となりました。 実際、このSF90 Stradaleは、シャルル・ルクレールのステアリング操作により、彼の故郷の公道を240 km/hを超える速度で駆け抜けています。彼にとって初めての同乗者となったのは、モナコ公国のアルベール殿下で、そのあとにはミステリアスな一人の女性が同乗しました。
撮影が行われたのは、モナコ・グランプリが開催されるはずであった5月24日の早朝です。モナコの道路はこの撮影のために閉鎖されましたが、撮影場所にはロックダウンの解除を受けて外に出始めたばかりの好奇心旺盛なモナコの人々が数多く集まりました。17名の撮影クルーがさまざまなカメラを駆使し、SF90 Stradaleの走りを映像に収めました。マラネッロからもバックアップやアドバイスのために、エンジニアと技術スタッフから成る6名のチームが撮影に駆け付けています。
この映画は『C'était un Rendez-Vous』(ランデヴー)に着想を得たものです。同作品は、1976年にルルーシュ監督がパリの公道で撮影した短編映画で、その文化的な価値は長年にわたって高く評価されています。スピードへの情熱、瞬時にそれとわかるフェラーリのエンジン・サウンド、そして新旧の2人の主演俳優はいずれも監督にとって重要な存在です。また、旧作では、当時ルルーシュ監督のパートナーであったグニラ・フリーデンが共演者として出演。一方、今回の短編映画では、1976年当時の夫婦関係に対する孫娘のレベッカ・ブラン・ルルーシュが、冒頭と最後に若い花屋として登場しています。