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非競技用途の限定生産スポーツプロトタイプ、

  • 新 499P Modificataは、 非競技用途のサーキット専用モデルで、こく少数を限定生産。
  • ベース車両は2023年6月にル・マン総合優勝を成し遂げた499Pで、対象はジェントルマン・ドライバー。
  • 専用開発のタイヤ、フルタイム・アクプイブ4WD、最高出力640kW、「プッシュ・トゥ・パス」機能など、ドライビングの興奮を強化しつつ、パフォーマンスを引き出しやすい設計。
  • 499P Modificataと共に、新たにスポルト・プロトティピ・クリエンティ・プログラムが始動、F1クリエンティに加わる。
  • 2023年フェラーリ・フィナーリ・モンデイアーリ開催中のムジェロ・サーキットで発表。

2023年10月28日、スカルペリーア・エ・サン・ピエロ発

フェラーリは、2023年の耐久レース最高峰クラスヘの歴史的復帰を記念して、ごく少数を限定生産する非競技用途のサーキット専用モデル、499P Modificataを、フィナーリ・モンディアーリ開催中のムジェロ・サーキットで発表しました。

499P Modificataは、今年6月に100周年記念ル・マン24時間レースで総合優勝を飾った499Pの大幅な改造バージョンで、サーキット走行の興奮に新たなベンチマークを打ち立てることを目指したモデルです。

 ごく少数の選ばれたお客様を対象とする499P Modificataによって、フェラーリに新種のプロジェクトが誕生しました。テクニカル・レギュレーションによる制約のないサーキット専用モテルを、プロダクションモデルではなくレーシングカーから直接開発したのです。499P Modificataは499Pをベースとしていますが、FIA世界耐久選手権(WEC) に課される競技・技術パラメーターに従う必要がありません。そのためフェラーリのエンジニアリングチームは、いくつもの大幅な変更を加えて、ドライビングの興奮を強化し、パフォーマンスをより引き出しやすいモデルに仕上げることができました。

499Pからの主な技術的変更点としては、低速でも電動アクスルと四輪駆動の稼動を可能にしたこと、120kWの出力増加をドライバーが選択できる「プッシュ・トゥ・パス」機能の搭載、ピレリが開発した専用タイヤの採用などがあります。また、サスペンション・セットアップ、電子制御システム、エンジン・マップも、キャリブレーションを完全に改めました。

499P Modificataのコックピットは499Pと同じで、シングルシート・レイアウトや人間工学を踏襲しています。つまり、ル・マン24時間レースでハイパーポール、ファステストラップ、総合優勝を成し遂げた50号車、51号車のクルーとまったく同じドライビング・エクスペリエンスを味わえるのです。

499Pの明らかな派生モデルであるだけに、499P Modificataは、フェラーリが非競技用途で提供するサーキット専用クローズドホイールモデルの中で最高のパフォーマンスを誇ります。2024年から、スポルト・プロトティピ・クリエンティ・プログラムで使用され、既存のF1クリエンティ・プログラムと共に活動します。したがって499P Modificataのオーナーは、国際的なサーキットで開催される数々のイベントに毎年参加できます。輸送やサーキットでのアシスタンス、メンテナンスはフェラーリが担います。

499P Modificataのハイブリッド・パワートレインは、ミッド・リアに搭載するV6内燃エンジンと、フロント・アクスルに搭載する電気モーターを組み合わせています。FIAとACOのレギュレーションによる制約がないため、システム全体の総最高出力は640kW(870cv)に達します。ICEは、296 GT3に搭載するパワーユニットと共通のアーキテクチャーを持ちますが、フェラーリのエンジニアは、専用のソリューションを開発し、総重量を削減するため、完全な見直しを行いました。

499P ModificataのV6エンジンでとりわけ特徴的なのが、荷重を担う重要な構造部材として働く点です。対してGTレーシングカーでは、エンジンはサブ・フレームにマウントされています。

パワートレインに装備する電気モーターは、最蕎出力200kW(272cv) で、ディファレンシャルとエネルギ一回生システム(ERS)を備え、減速時と制動時にバッテリーを充電します。800Vのバッテリーパックは、フェラーリのF1での経験を活用して開発されました。パワーユニットは、7速シーケンシャル・ギアボックスと接続します。

499P Modificataは、総カーボン・ファイバー製モノコック・シャシーをはじめ、プッシュロッド式サスペンションなど、最先端のソリューションを擁します。また、高度なブレーキ・システムにはブレーキ・バイ・ワイヤを装備し、制動中に電動フロ ント ・アクスルでエネルギーを回生できます。

メカニカル・セットアップ(ショックアブゾーバー、スプリング、アンチロールバーを車体中央に配置)は、ドライビングの興奮を最大限に高め、あらゆる状況下で予測しやすい挙動を示す、特別な設計です。

同じ理念に従って、エンジンとドライバビリティーのマップも微調整しました。また、グリップ限界でのトルク制御を円滑にするよう、特殊なトラクション・コントロール・ロジックを開発し、専用のスタート支援ロジックも導入しています。

499Pとは異なり、499P Modificataは専用のピレリタイヤを装着します。このタイヤは、予測しやすいハンドリングを実現し、非競技走行中のフィードバックを最大化するよう開発されました。ウォームアップが早く、ピーク・パフォーマンスで周回を重ねても一貫したグリップレベルを維持します。

499P ModificataはFIAWEC のレギュレーションに従う必要がないので、エンジニアは新たなソリューションを導入できました。まず、フロント・アクスルが低速から稼動するため(499Pでは稼動が q190 km/h以上に制限)、ドライバーが四輪駆動の恩恵を受けられます。このソリューションには、パフォーマンスとドライバビリティーの両面でメリットがあります。 追加される前輪のグリップを活用でき、前後アクスルに最適なトルクを配分できるからです。その結果、応答性がいっそう高まり、コーナー立ち上がりの正確性が向上して、ドライバーが最善の走行ラインを見つけやすくなり、途方もないパフォーマンスを秘めたマシンで限界まで攻める自信を与えます。

特定のレギュレーションに縛られない自由度から、もうひとつ重要な変更が可能となりました。それが、「プッシュ・トゥ・パス」システムの導入です。これによって、1周につき限られた時間、520kW(707 cv)の出力に'120kW(163cv)のパワーを上乗せして、総最高出力の640kW(870cv)を発揮できます。コンセプトとしては、2009年にF1に導入されたKERSシステムと似ています。

ドライバーは、ステアリング・ホイール裏のボタンを使ってこのシステムを稼動できます。パワーが上乗せされるのは、アクセルペダルを全開で踏んでいるときだけで、稼動時間は最長で1回7秒間です。1周に稼動できる回数は、サーキットのタイプとバッテリーの電力のバランスによって変わります。 充電量が一定の閾値を下回るとシステムが自動で解除し、エネルギー回生でバッテリーの充電が適切なしベルに達すると再び稼動します。

499P Modificataは、専用タイヤを装備します(フロント310/710-18、リア340/710-18 )。

ピレリでは、まずバーチャル・シミュレーションから開発をスタートしました。FIAのレギュレーションをベースとするスリックタイヤで、専用の構造とトレッド・コンパウンドはF1の技術から生まれたものです。開発で目指したのは、ノンプロのドライバーに合わせて、ドライバビリティーを強調し、ハンドリングのフィードバックを最大化することでした。そのために、ウォームアップ時間を最適化し、連続周回中の性能劣化を抑えました。雨用タイヤも新たなトレッド・パターンとコンパウンドです。セミウェットとフルウェットのコンディションで最大のグリップを発揮するよう開発されました。

499P Modificataのデザインは、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターとの連携で決定しました。波打つシンプルなフォルムで、高度な技術やエアロダイナミクスを誇示しており、まさにフェラーリのDNAを体現しています。

上面がフラットなサイドボディは、サイドポッドとホイールアーチが調和したフォルムとなるように造形されました。ホイールアーチの特徴である大きな開口部は、タイヤハウス内の気圧を下げるために設けられています。フロントエンドに個性と豊かな表情を与えているのがヘッドライトで、ひと目でフェラーリと分かるおなじみのスタイリング要素を彷彿とさせるデザインです。

リアは、テクノロジーとエアロダイナミクスとデザインの融合の極致です。軽量なカーボン・ファイバー製パネルがパワートレインを包み、タイヤとサスペンションは完全に露出しています。テールを特徴づけるのは水平なダブルウィングで、上部ウィングは必要なダウンフォースを発生するよう入念にデザインされています。下部ウィングにはライトバーが組み込まれ、これがリアエンドのデザインに徹底したミニマリストの雰囲気を与えています。ルーフを占める複数のエア・インテークからは、V6エンジンの吸気が取り込まれ、バッテリーおよびギアボックスに冷却エアが供給されます。

比類ないフェラーリの歴史の一部は、耐久レースに参戦した多くのモデルによって築かれたものです。そうしたモデルは、GTとスポーツプロトタイプの両カテゴリーで輝かしい成績を残してきました。会社の創立から1973年まで、フェラーリはル・ マン24時間レースで9回の総合優勝を遂げ、今年、499Pが10回目の勝利を飾りました。

499P Modificataは、耐久レースにおけるこうした輝かしい歴史を称えるため、伝説の名車に続くことのできるエクスクルーシブなモデルとして、特別に開発されました。コルセ・ クリエンティ部門では、2024年から、「スポルト・プロトティピ・クリエンティ」プログラムを創設します。専用のサーキットイベントを開催し、499P Modificataのオーナーに対し、メンテナンスから技術面、輸送面のサポートまで、フェラーリが完全な支援を行います。

シャシー&サスペンション

シャシー

カ ーボン・ファイバー製モノコック

サスペンション

ダブル・ウィッシュボーン、プッシュロッド


内燃エンジン

タイプ 

V6-120°、ドライサンプ

総排気量

2994 cc


電動フロント・アクスル

最高出力

200kW (272cv)

稼動可能速度

レギュレーションによる制限なし


パワートレイン

総最高出力(ICEおよび電動アクスル*)640kW (870cv)


タイヤ&ホイール

フロント

310/710-18

リア

340/710-18


トランスミッション&ギアポックス

7速シーケンシャル・ギアボックス 


電子制御

トラクション・コントロール、ブレーキ・バイ・ワイヤ・システム


「プッ シュ・ト ゥ・パス」システム稼働時