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25 Sep 2023

FIA WEC第6戦でFerrari 499Pが富士に上陸

FIA WEC第6戦でFerrari 499Pが富士に上陸


2カ月前のモンツァでは、フェラーリの50号車が2位フィニッシュを飾りました。いよいよWECはシーズン残り2戦を迎えます。499Pがそのペースを試す舞台は、日本の象徴、富士山の裾野に位置する全長4,563mの富士スピードウェイ。 マラネッロ生まれの499Pが走るのは、これが初めてです。


長いストレートが特徴のコースレイアウトですが、有名な「100R」のように大きな弧を描くコーナーや、低速コーナーが続く区間もあります。そのため、まったく異なるセクターでマシンが最適なパフォーマンスを発揮するよう、どのチームもセットアップを詰める作業に力を注ぐ必要があります。


フェラーリAFコルセは、ここまで5戦で表彰台を5回獲得。その中にはル・マン24時間レース優勝もありました。今回も、タイトル争いに不可欠な大量ポイントの獲得を狙います。フェラーリはマニュファクチャラーズ選手権で2位につけており、トヨタを26ポイント差で追っています。ちなみに、富士6時間とバーレーン8時間で優勝とポールポジションなら、合計63ポイントが獲得できます。ドライバーズ選手権では、499Pの51号車を駆るアレッサンドロ・ピエル・グイディ/ジェームズ・カラード/アントニオ・ジョヴィナッツィ組が3位、チームメートで50号車を駆るアントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組はそれに次ぐ4位。首位との差は、それぞれ23ポイント、30ポイントです。


スケジュール:9月8日(金)は、11:00~12:30と15:30~17:00にフリー走行を2回行います。9日(土)は、10:20~11:20に3回目のフリー走行を行ったあと、15:30~15:45の予選でスターティング・グリッドが決定。10日(日)11:00 に6時間レースがスタートします(以上、すべて日本時間)。予選と決勝は、ドライバーの目線で楽しんでいただけるよう、ハイパーカー50号車・51号車のオンボード映像をフェラーリの公式YouTubeチャンネルで生配信します。

2023年8月31日、マラネッロ発 アントニオ・ジョヴィナッツィは、これまでに250を超えるレースに出走してきました。F1から量産車ベースのGT、そして跳ね馬のハイパーカー、Ferrari 499Pまで、そのカテゴリーは多岐にわたります。2023年シーズン、ジョヴィナッツィはFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦しています。アレッサンドロ・ピエル・グイディ、ジェームズ・カラードと共に51号車を駆って、100周年記念ル・マン24時間レースで優勝し、スパ・フランコルシャンでも3位フィニッシュを飾りました。自身のモータースポーツキャリアについて、29歳のジョヴィナッツィはこう語ります。「長いキャリアの間には壁にもぶつかりました。原点は、いつかフェラーリでレースがしたいと子どもの頃に夢見たことです。レースヘの情熱と成し遂げてきた結果によって、あらゆる努力が報われました」

最初の一歩:ジョヴィナッツィは1993年にプッリャ州マルティナフランカで生まれました。初めてカートに乗ったのはわずか2歳半のとき。カートコースではなく、自宅の裏庭でした。「父によれば、エンジンを始動させたとたん、僕は怖がって逃げ出したそうです」と今やフェラーリの正ドライバーとなったジョヴィナッツィは振り返ります。「そのあと情熱に火が付きました。最初は家の外を走り、毎週日曜日はコースで練習してすごすうちに、7歳からは本格的なレースに出走できるようになりました」

初優勝は、バーリ近郊のカプルソでした。「選手権の第4戦でした。それまでのレースは、スタートの仕方と経験不足のせいで、少し不運でした。先頭でチェッカーフラッグを受けた気分は格別でしたよ。その後2、3日は、トロフィーを抱いて眠ったほどです」

支え:アントニオ・ジョヴィナッツィの話には、家族とファンという二つの言葉が繰り返し出てきました。この二つは、プロのドライバーにとって無限のインスピレーションの源となり、困難なときにも支えになるといいます。「僕の可能性を誰よりも信じてくれたのは父です。いつも自分の仕事より僕のレースを優先してくれました。子どもの頃、新しいコースに挑戦するために、僕たちはバーリからパルマまで往復1,600kmの旅をしました。お金が無尽蔵にあるわけではなかったので、車にカートを積んで、僕はそのカートのシートに座っていったんですよ。振り返ると、家族がどれほど犠牲を払ってくれたか、改めて気づきます」

コース上を350km/hにも達する速度で走行するレーシングドライバーは、アスリートであると同時にヒーローでもあります。しかしジョヴィナッツィは、地に足の着いた態度を崩しません。「ファンこそが鍵ですよ。彼らの存在、応援、評価や敬意がなければ、今の僕たちはありません。だからレースをいい結果で終えられたときは、家族の次にファンのことを思うんです」

2023年8月31日、マラネッロ発 無数の写真や絵画に収められてきた、日本で最も有名な山、富士山の裾野に位置するサーキット。1965年に開場した富士スピードウェイで、2023年FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦が開催されます。現在、全長4,563mに16個のコーナーを擁するこのサーキットには、プロトタイプと耐久レースの長い歴史があります。跳ね馬の勝利の記録にも、この地が何度か登場します。なかでも特筆すべきなのが、Ferrari 512 Sによる1970年の富士200マイル優勝です。近年は、FIA WECカレンダーの常連となった富士6時間耐久レースで、488 GTEがたびたび勝利をつかみました。


サーキット:富士スピードウェイは、1963年の計画当初、アメリカの「スーパー・スピードウェイ」風コースを標榜し、バンクの付いたカーブを2本のストレートで結ぶオーバルコースとする予定でした。しかしプロジェクトは2年後に、ロードスタイルのコースとして結実しました。

プロトタイプ:富士スピードウェイでは、耐久レース用に設計されたプロトタイプカーが数々の戦いを繰り広げてきました。1967年から1990年代初頭まで続いた1000kmレースや、招待者のみが出走できたレースシーズン末の200マイルレースなどが、特に際立つものとして挙げられます。フェラーリが日本での初優勝を飾ったのも、そうしたレースでした。スクーデリア・ピッキオ・ロッソから出走した512 Sで、コラード・マンフレデイーニと組んだジャン・ピエロ・モレッティが、先頭でフィニッシュラインを横切りました。


Ferrari 512 Sは、1969年後半に史上最短記録で開発されました。これを完成させたエンジニアのマウロ・フォルギエリとそのチームは、3カ月間で25台の製造を指揮しました。グループ5のスポーツプロトタイプとしてホモロゲーションを取得し、世界選手権に参戦するためには、それが必須条件だったのです。512 Sのボンネットの下には、4,993.53ccのV12エンジンを搭載し、当初の出力は550hp、最高速は340km/hに達しました。512 Sは1970年のデイトナ24時間レースでデビューすると、マリオ・アンドレッティ/アルトゥーロ・メルツァリオ/ジャッキー・イクス組が3位でフィニッシュ。その後も、富士200マイルで優勝を飾ったほか、モンツァ1000kmといった重要なレースで表彰台をつかみました。


GT:FIA WECが創設された2012年から、富士では2021年を除いて毎年レースが開催されてきました。この間、マラネッロはマニュファクチャラーとして5度のクラス優勝を記録しています。最初の2回は2014年、2015年シーズンです。Ferrari 458 Italia GTEで、トニ・ビランダー/ジャンマリア・ブルーニ組がLMGTE Proクラスで表彰台の中央に立ちました。後継レーシングカーの488 GTEは勝利数をさらに積み上げます。2017年には、アレッサンドロ・ピエル・グイディ/ジェームズ・カラード組がLMGTE Proクラスで、トーマス・フローア/フランチェスコ・カステラッチ/ミゲル・モリーナ組がLMGTE Amクラスでそれぞれ優勝しました。


2022年には、AFコルセの488 GTEが1-2フィニッシュを飾ります。プロドライバーのみが出走するLMGTE Proクラスで、ピエル・グイディ/カラード組の51号車が1位、アントニオ・フォコ/モリーナ組の52号車が2位となりました。これによってフェラーリはコンストラクターズ選手権でリードを奪います。そして、首位で迎えたバーレーンでの最終戦で、マラネッロとピエル・グイディ/カラード組が、マニュファクチャラーズ・タイトルとドライバーズ・タイトルの2冠を達成したのです。

2023年8月31日、マラネッロ発 FIA WECに出走しているFerrari499Pには、レース・テクノロジーの最先端を行く電子制御ソリューションが盛り込まれています。制御ユニット、配線、300を超えるセンサーで構成される多機能の制御システムが、マシンのパワーから信頼性までを管理しています。特に信頼性は、勝利をつかむ可能性を保証する重要な要素です。電子機器と信頼性について、研究・設計・開発・応用の各段階で指揮を執るのが、耐久レースカー・エレクトロニクス&コントロ―ル・マネージャーのベネディクト・プリウル、耐久レースカー・ビークル・エンジニアリング・マネージャーのダヴィデ・ピッチニーニ、耐久レースカー・レース&テスト・マネージャーのジュニアーノ・サルヴィです。また、必要なときにフィードバックを行えるドライバーの役割も非常に重要です。

電子機器:一般の辞書にも載っている言葉ですが、Ferrari 499Pのようなプロトタイプカーの場合は特別な意味を帯びます。ベネディクト・プリウルは次のように説明します。「電子機器という概念には様々な要素が含まれます。300以上のセンサーがハイパーカーの状態を監視し、マシンの隅々まで張り巡らされた配線がこれと制御ユニットを結び、制御ユニットは、パワーユニットから信頼性まで、数多くの機能の管理を可能にします」

電子機器の機能や適用範囲は幅広く、例えばヘッドライトの点灯に始まり、ハイブリッド・システムを監視するセーフティー・ライトや、ドライバーの快適性を維持する空調などの切り替えも行います。最初の制御ユニット・ソフトウェアは、2021年5月にチューニングが終わりました。次は、「配線とセンサーの開発でした。2年後、完全な電子制御システムに組み込んだ際に、性能と信頼性が高く、レースですぐに使えるものを目指しました」とプリウル。「最も複雑だったのは、ハイブリッド・システムをマシンに組み込む作業でした。これが与える影響は、センサーや高電圧配線はもちろん、様々なコンポーネント間の統合や、各コンポーネントの制御戦略にも及ぶからです」

信頼性:499Pの電子システムを設計・構築したあとも、フェラーリAFコルセチームのエンジニアは、499Pの信頼性を最大限高めるための努力を続けました。ダヴィデ・ピッチニーニはこう説明します。「設計段階でFMEA(故障モード影響解析)を実施して、起こり得る不具合を洗い出し、電子機器やシャシー、メカニカル・パーツ、エンジンなど、マシンの主要コンポーネントに与える影響を分析しました」

仕事は一歩一歩、着実に進められました。「499Pが完成すると、あらゆるパーツやシステムをきちんと機能させ、組立作業を円滑に進めるために、どんな作業が必要か、全体像を把握しました。私たちはコースでの開発作業や評価テストを実施して、最大限の信頼性を確保するために、相当の距離を走り込みました」

Ferrari 499Pは、2022年7月6日に最初のシェイクダウンを行い、2023年3月のセブリングでデビューしましたが、その間には数々の試練が待ち受けていました。「異常が出たら、その原因を究明しなければなりません。まずはサーキットで診断しますが、最終的な検証はマラネッロで行います」

ピッチニーニによると、検証過程には3つの段階があります。「対象となるコンポーネントの詳細な分析、問題の発生原因の特定、そして修正方法の考案です」

ドライバーの役割:Ferrari499Pのドライバーは、予選や決勝、ピットレーン進入時など、レースイベントの重要な場面で、電子機器が自動で介入するセッティングを活用します。例えばレース中に問題が起きた場合は、ステアリング・ホイールのスイッチによって、リセット・システムを起動できます。アントニオ・フォコ、ニクラス・ニールセンと共に499Pの50号車をドライブするミゲル・モリーナは、こう話します。「ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムにトラブルが発生したことがあります。私たちはエンジニアから無線で指示を受け、ステアリングを使って必要なリセットを行い、ピットレーンに戻らずに直接介入できたので、貴重な時間をロスせずに済みました」

レース後の分析:壁にぶつかる事態が起きた場合には、跳ね馬の本拠地に戻ってから必ず分析が行われます。ジュリアーノ・サルヴィはこう説明します。「問題をリストアップし、大きく3つのカテゴリーに分類します。順に挙げると、パフォーマンスに重大な影響を与えるかレース完走を妨げる恐れのある異常、パフォーマンスや信頼性にすぐには影響を与えない異常、それより小さな異常の3つです」見つかった問題は、1番目から3番目へと、優先順位に従って処理されます。最後に、一連の所見を整理して、今後の改良や進化に示唆を与える貴重な材料として設計に役立てます。

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