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跳ね馬の究極のスポーツカーをインスピレーションとするビークルダイナミクスで、真にフェラーリらしい4 ドアスポーツカーに

自動車業界に新たなスタンダードを打ち立てる革新的レイアウトを採用

2022 年9 月13 日ラヤーティコ発 世界の自動車コミュニティーは何年も前からこの日を待っていました。本日フェラーリは、跳ね馬の75 年の歴史で初めての4 ドア4 シーター、Purosangue を、ピサ県ラヤーティコにある厳かな雰囲気の野外劇場、テアトロ・デル・シレンツィオで発表しました。

フェラーリでは初期の頃から、2+2 モデル(前2 席、後部に小ぶりな2 席)が戦略上の重要な役割を果たしてきました。多くのフェラーリが、ベンチマークとなるパフォーマンスと最上級の快適性との融合を、成功のひとつの柱としてきました。そして今フェラーリは、75 年におよぶ最先端の研究の集大成として、世界的にもユニークなモデルを生み出しました。パフォーマンス、ドライビング・プレジャー、快適性が完璧に調和して共存するだけでなく、跳ね馬を象徴するDNA を比類ない形で凝縮したモデルです。だからこそ、イタリア語で「サラブレッド」を意味するPurosangue という名が選ばれたのです。

このプロジェクトに課された野心的な目標を達成し、フェラーリのラインアップにふさわしいモデルとするため、典型的な現代GT モデル(いわゆるクロスオーバーやSUV)とはまったく異なるレイアウトと革新的なプロポーションを採用しました。現代の平均的なGT では、エンジンが車両前方に搭載され、これと直接つながるギアボックスと共に、フロント・アクスルにほとんどまたがる形となります。その結果、最適とはいえない重量配分となり、ドライビング・ダイナミクスやドライビング・プレジャーは、跳ね馬のお客様やエンスージアストが慣れ親しんだ卓越した水準にはとうてい届きません。

対してPurosangue では、ミッドフロントにエンジンを、リアにギアボックスを搭載する、スポーティーなトランスアクスル・レイアウトです。パワー・トランスファー・ユニット(PTU)をエンジン前方に組み合わせ、ユニークな4×4 トランスミッションを実現しています。これによって、前後重量配分は49:51 になりました。マラネッロのエンジニアがミッドフロントシップのスポーツカーにとって最適と認める配分です。

Purosangue は、そのパフォーマンスと快適性で、市場の他のモデルを完全に凌駕しています。こうしたサイズのモデルでは唯一、ミッドフロントに自然吸気V12 エンジンを搭載するのです。マラネッロで最もアイコニックなエンジンがこの新形態にデビューし、同セグメントで最高のパワー(725 cv)を発生。フェラーリならではの心を奪うエンジン・サウンドも約束されています。さらには、最大トルクの80%を低回転域から発揮するので、いかなる状況でもユニークなドライビング・プレジャーを楽しめます。

Purosangue のエアロダイナミクスは、ボディワーク、アンダーボディ、リア・ディフューザーの効率性を可能な限り高めることを重点に開発されました。新たなソリューションのひとつとして、フロント・バンパーとホイールアーチ・トリムの相乗効果で、フロントタイヤを空力的に密閉する空気のカーテンを作り出し、横に広がる乱気流の発生を防いでいます。

フェラーリは、最もパワフルでエクスクルーシブなスポーツカーで導入したビークルダイナミクス制御システムを、最新バージョンにしてPurosangue に採用しています。例えば独立四輪操舵や、6 ウェイ・シャシー・ダイナミック・センサー(6w-CDS)を活用するABS"evo"です。また、新フェラーリ・アクティブ・サスペンション・システムが世界デビューを飾りました。これは、コーナーでボディのロールを制御したり、高周波のバンプを超える際にタイヤの接地面をコントロールしたりするのに非常に有効で、フェラーリのスポーツカーと同じパフォーマンスとハンドリング・レスポンスが実現しました。

まったく新しいシャシーは、カーボン・ファイバー製ルーフを標準仕様として、軽量化と低重心化を図っています。デザイナーは、ボディシェルを再設計して、後部ドアをリアヒンジとすることで(ウェルカム・ドア)、乗り降りしやすく、かつ車体を可能な限りコンパクトにしました。キャビンは、ゆったりしたヒーター付き電動シートを4 個備え、大人4 人を快適に収容できます。トランクはフェラーリ史上最も広く、リアシートを倒せばラゲッジ・スペースがさらに増えます。当然ながら、Purosangueでは、他のフェラーリより見晴らしのよいドライビングポジションとなりますが、仕様は他のすべてのフェラーリと同じです。そのため、ドライビングポジションはフロアに近く、車両と密接しているので、動的性能との一体感が強まります。

Purosangue は、性能値でもクラストップです(0-100 km/h 加速3.3 秒、0-200 km/h 加速10.6 秒)。そのドライビングポジションと、自然吸気V12 エンジンの陶然とさせるサウンドによって、まったく新しいと同時に、完全にフェラーリらしいドライビング・エクスペリエンスが実現しています。さらには、Burmester?のオーディオ・システムを含め、快適性にフォーカスした装備が標準で幅広く備わり、オプションも数多く用意されています。そのひとつが新しいアルカンターラ?の内張りで、認証取得のリサイクル・ポリエステルを使用しています。このようにPurosangue は、同セグメントで最も完成度の高い4 ドア4 シーターなのです。


パワートレイン

Purosangue のエンジン(コードネームF140IA)は、跳ね馬の最新V12 エンジンに大成功をもたらした構造を引き継いで、シリンダー・バンク角65°、排気量6.5 リッター、ドライサンプ、高圧の直噴式です。しかし、設計の主眼は、できる限り低い回転域から最大のトルクを発揮し、かつフェラーリの自然吸気V12 エンジンに典型的なリニアで無尽蔵なパワーデリバリーも失わないことでした。最大トルクの80%をわずか2100 rpmから発揮し、6250 rpmで最大トルク716 Nmに達します。7750 rpm で最高出力725 cv に達し、スロットル・レスポンスは、真のスポーツカーらしいものです。

吸排気システムとタイミング・システムは完全に再設計された一方で、シリンダー・ヘッドは812Competizione の派生形です。特に、機械効率と燃焼効率に惜しみなく力を注ぎ、F1 をインスピレーションとするキャリブレーション・コンセプトを採用。その結果、フェラーリが4 シーター用に開発したエンジンの中でも、同セグメント全体でも、最もパワフルなエンジンとなりました。同時に、即座にそれと分かるフェラーリV12 サウンドを奏でる唯一のものです。

機械効率を最大化するため、回転パーツが再設計されました。窒化スチール製クランクシャフトをモディファイしてストロークを伸ばし、内部のオイル流路も再設計して、ビッグエンド・ベアリングへのオイルフローを改善。ベアリング・クリアランスの許容範囲が縮小されて、燃焼が向上しています。冷却液およびオイルのポンプ・アッセンブリーも再設計し、スカベンジ部分の摩擦と容量の低減に力を注ぎました。これには、小径ローターの採用、注入・排出口やローターシールの最適化が貢献しました。

バルブタイミングもまったく新しくなり、カムシャフトは仕上げ工程の刷新によって、表面の粗さが著しく低減し、カムローブ、カムシャフト、油圧式タペットの摩擦係数が大幅に下がりました。

トルクカーブを最適化して、全回転域で絶えず増加するよう、吸気系のダクトとプレナムのジオメトリーを見直しました。排気システムのジオメトリーも最適化され、通過性を向上し、背圧を低減。また、頂面を再設計した特殊なピストンで、燃焼効率を高めています。

エンジンの直噴システムは、2 個の高圧燃料ポンプ(350 バール)を備え、ここから燃焼室内部のインジェクターに燃料が送られます。イグニッション・システムは、12 個のコイルとスパークプラグから成り、これを常時モニターするECU は、イオン電流を測定して点火タイミングを制御するイオン感応システムを備えます。シングルスパークとマルチスパークの機能を兼ね備え、全回転域で燃焼効率を最大限に高めます。ECU は、燃焼室内の燃焼も管理して、エンジンが常に最高の熱効率で稼働するようにしています。これには、タンク内の燃料のオクタン価(RON)を判別し、それに合わせて調整する洗練されたストラテジーが貢献しています。エンジン制御ストラテジーでは、F1 に参戦するフェラーリの専門性から生まれた特許取得の新機能を採用して、低・中回転域での過渡加速のトルクを最適化しています。

F140IA のサウンドは、エンジンの燃焼サイクルが生み出す壮麗なシンフォニーと、キャビンの音響をコントロールするフェラーリの手腕が見事に組み合わされた結果です。等長エグゾースト・マニホールドは、12 気筒が完璧なハーモニーを奏でるようチューニングされています。新プレナムと最適化された吸気ダクトが、V12 ならではの高音を中周波音に添えます。2 個の可変サイレンサーの反応は、マネッティーノにセッティングが加わったので、市街地走行とパフォーマンス走行のいずれにも合わせられます。このようにして、典型的なフェラーリサウンドが生まれ、紛れもないV12 の倍音が確かに聞こえます。とはいえ、ドライバーがハードに加速するまでは控えめで、エンジンがレッドゾーンの8250rpmに近づくと、心を奪うクレッシェンドになり、フェラーリのエンジンしか成し得ない高回転域で頂点に達します。

8 速オイルバス式デュアルクラッチ・トランスミッションは、ドライサンプの採用と、クラッチ・アッセンブリーの大幅な小型化で、レイアウトが最適化されました。これによって搭載位置が15 mm 下がり、車両全体の重心も15 mm 下がっています。新クラッチのパフォーマンスは35%向上し、変速時には最大1,200 Nm の動トルクを伝達します。新世代の油圧式アクチュエーターによって、クラッチ・フィル時間が短縮され、トータルの変速所要時間も以前の7 速DCT より短縮されています。新たなギアレシオは、ギア比の差が縮まって非常に緩やかになり、トップのギア比は、高速道路を走行する際の燃費が向上するよう、高めの設定です。シフトダウンは、変速をスムーズにする上で最適なキャリブレーションで、ドライビング・プレジャーと新V12 サウンドの強調に重点が置かれています。


シャシーおよびボディ

Purosangue のシャシーは完全に新しいもので、妥協のない剛性を実現する構造を目指し、ゼロから設計されました。下部シャシー構造は、すべて高強度のアルミニウム合金製で、こうした軽量合金を最適に活用するフェラーリの膨大な経験が生かされています。下部シャシー構造は、アッパーボディの構造エレメントと共に、閉断面の押し出し材を鋳造材で接合したスペースフレーム・シャシーを形成し、そこに、荷重を受けるアルミニウム製シートメタルが接合されています。

そのため、フェラーリの従来の4 シーターより大きいにもかかわらず、シャシーは軽くなりました。ねじり剛性は30%、ビーム剛性は25%アップし、この二つが基盤となって、NVH 特性が向上し、したがって、快適性も高まりました。路面の粗さをスムーズかつ静かに吸収すると共に、比類ない構造的な完全性を感じさせます。

製造に中子を使用する薄い中空鋳造を幅広く採用したことで、構造の最適化、パフォーマンスの最大化、強度の引き上げにつながり、これによって、最も重要な乗員安全性能が保証されています。さらにこの技術は、組立品質の向上ももたらしました。より正確な接合が可能となり、コンポーネント数が削減され、結果的に溶接ラインが減少したからです。

ボディシェルの素材は、アルミニウムからカーボン・ファイバーまで幅広く、高強度スチールを重要な部分に導入し、構造用接着剤を使用する機械的接合も採用しています。このように異なる素材を組み合わせることで、必要な部分に最大の強度を確保すると共に、負荷のかからない部分は軽量化できました。

高強度スチールは、サイド・インパクトバー、主な接合点の補強材、B ピラーに使われています。設計段階で細部まで徹底的な注意を払った結果、個々のコンポーネントも異素材で構成されました。その一例が後部ドアのシングルヒンジで、固定部分は鋳造アルミニウムですが、可動部分はホットスタンピング成形のスチール製です。

防音材を内蔵するシングル・シェルのカーボン・ファイバー製ルーフは、まったく新しいもので、剛性はガラスルーフと同レベルでありながら、防音材入りアルミニウム製ルーフより20%軽くなりました。人間工学の観点から、ホイールベースをコンパクトに押さえつつ、乗り降りのスペースをできる限り確保することに力を注ぎました。このために、伝統的な開き方をするフロントドアは開放角度が63°で、他のフェラーリモデルより5°広く、後部ドアはまったく新しい電動のリアヒンジ式で、79°開きます。ボンネットは、Ferrari Monza SP1/SP2 や過去の伝説的モデルと同様フロントヒンジで、これによってA ピラー周辺に特殊なフォルムを作り出すことが可能となりました。ボンネットのグースネック型ヒンジ・アッセンブリーは、開けた際の確実さと安定性から、アルミニウム製としました。

アルミニウム製のリアハッチは電動です。スタビラス社の電動テールゲート・リフターを2 個備え、73°まで開くので、ラゲッジエリアにアクセスしやすく、非常に大きな荷物の積み降ろしも容易です。グースネック型ヒンジ・アッセンブリーの採用で、上部スポイラー部分を斬新な美しいフォルムに仕上げることができました。


エアロダイナミクス

真にユニークなPurosangue は、従来とはボリュームと制約の点で大きく異なるため、フェラーリのエアロダイナミクス部門は、まったく新しい課題に直面し、手法とソリューションの抜本的な再考を求められました。極めて野心的なドラッグ低減目標が課されたほか、使い勝手やアクセスに関してこのモデル特有の要求があり、パワフルなV12 や補機類の冷却も必要でした。そのため、風洞で数百時間が費やされ、CFD(数値流体力学)によるシミュレーションが何千回も行われました。つまり、ラインアップの中で最も速くパワフルなスポーツカーと同様の開発作業が必要だったのです。

Purosangue の空力デザインで第1 に重点となったのは、車両のセンターライン部分です。これは、気流デザイン、抵抗係数(Cd)の低減、前面面積の最小化に不可欠でした。フロントのシルエットは、ボンネットのカーブが最もきつくなる部分からフロント・ウィンドウのヘッダーレールにかけて、最大限シームレスに連続するようデザインされています。一方、ルーフ後方からリアスクリーンとスポイラーにかけては、気流の剥離と圧力場をコントロールする基礎となるため、最大の努力が必要となりました。

ルーフからリアスクリーンまでのラインをできる限りスムーズなデザインにする必要性と、テールの高さを抑える必要性との最善の妥協策として、リアの空力パッケージを構成する2 個のエレメントが使われました。つり下げ式スポイラーと、トランク縁のノルダーです。つり下げ式スポイラーは、後席乗員の頭上より下流にあたるルーフのカーブを相殺する役割を果たし、ノルダーは、高さわずか7 mm ですが、後流のボルテックスを導いて、テールの圧力をわずかに高めます。

センターラインからリアに目を移すと、ルーフ後端からリアスクリーンまで広がるくぼみが見てとれます。これが左右両端に二つの峰を作り出しています。このソリューションには、後席乗員に必要なヘッドスペースを確保しながらも、ルーフ上部からの気流とグリーンハウスに沿って流れる気流を適切に分離する働きがあります。

Purosangue の空力開発では、タイヤからの乱気流も重要でした。この問題を解消するため、いくつかの空力ソリューションが取り入れられました。前後ホイールアーチ・トリムのルーバーがそのひとつです。最も複雑なシステムはフロントにあります。バンパーとルーバーの相乗効果で強力な空気のカーテンを作り出し、これがフロントタイヤを空力的に密閉して、横へ広がる乱気流の発生を防ぎます。サイド・エアインテーク外側のフロント・バンパーと垂直フィンの間にはダクトが設けられています。このダクトは、ルーバー内のブローン・エリアに向けて気流を加速させるよう調整されており、タイヤの外側のショルダーへ当たる角度で、力強い空気の刃を作り出します。この気流はその後、ルーバーの外面でボディ側面へとそらされます。

フロントのホイールアーチ・トリム後方には別のダクトがあり、タイヤハウス内から空気を最大限に抜き出す形状になっています。同じソリューションはリアにも採用され、リアのホイールアーチ・トリムにベントが設けられています。その外面は、ボディ側面とタイヤに沿って流れてきた空気がリアで剥離するポイントをコントロールする上で、最適な形状となっています。

A ピラーのすぐ前、ボンネット上に設けられたウィングは、F12berlinetta で導入された同様のエレメントになぞらえて、エアロブリッジと名付けられました。しかし、その役割はまったく異なります。F12berlinetta のエアロブリッジは、気流をボンネットから下向きにそらしてダウンフォースを増加させましたが、Purosangue ではドラッグを低減するよう設計されているのです。

ボンネットからウィングの下を通過する空気は、局部的にエネルギーを増し、フロント・ウィンドウ基部に発生するボルテックスの悪影響を抑えます。また、気流が加速するので、エアロブリッジに隠れたベントから排出される空気の量が増加します。このベントは、ヘッドライト上部のインテークから続くエアダクトを使った複雑なシステムの一部で、そこから供給される空気は、フロントのホイールアーチに導かれます。フロントエンドから入った気流は、フロントのタイヤハウス上部のルーバーから自然に排出され、さらにエンジン・コンパートメントへ流れ込み、エアロブリッジ下のベントに到達します。同様に、リアのタイヤハウス内部の過剰な圧力を抑えるため、テールライトのすぐ下(自然な吸引力が発生する部分)にベントが設けられ、リアのホイールアーチ内のダクトがここへ通じています。

フロント・バンパー下部からアンダーボディへ気流を送り込むブローン・ダクトは、フロント・バンパーの圧力がかかるエリアを縮小し、アンダーボディへ導かれる空気の量を最大化します。このエレメントは、既に他のフェラーリでも使われていますが、Purosangue では目的が異なります。ブローン・エリアでエネルギーを増した気流はアンダーボディに沿って流れ、特に吸引力を発生するよう設計された部分に到達。この近くには、フロント・アンダーボディ上に搭載する中央ラジエーターからの排出口があります。これによって、中央ラジエーターの冷却効率が最大限に高められ、ラジエーター用インテークを大幅に縮小できました。Purosangue ではグラウンド・クリアランスが大きいため、タイヤがむき出しになる部分がドラッグに大きく影響します。そのため、フロントタイヤの前方に下向きの傾斜を設けて、ダウンフォースを最大化しています。

ボディ表面のカーブは、フロントタイヤとウィッシュボーンを包み込むようにデザインされ、ホイールアーチに入り込む空気の量をできる限り抑えています。この効果に不可欠なのが、サスペンションのロワー・ウィッシュボーンに装着した小さなフラップです。フロントタイヤの背後には、自然に生まれる低圧のエリアを利用する排出口を2 箇所設け、エンジン・コンパートメント内の過剰な気圧を減らしてラジエーターの効率を高めると共に、ドラッグを低減しています。

リア・ディフューザーのデザインも、緻密な最適化の結果です。主な重点は、ディフューザー自体とアッパーボディ、リア・バンパーの相乗効果でした。ディフューザーに到達した気流は徐々に広がり、制御されます。この拡大の最後にある控えめなノルダーが、気流をわずかに圧縮してから切り離します。これがシステムの効率性を引き上げると同時に、ギアボックスとエグゾースト・システムのコンパートメント周辺から高温の空気を抜き出す効果を最大化します。

Purosangue にはリアスクリーン・ワイパーがなく、ガラス表面を通過する気流でリアスクリーンをきれいにします。つり下げ式スポイラーの下面は、気流が適切な速度と方向でリアスクリーンに流れるようにカーブしています。スポイラー下面の両端には、ボルテックス・ジェネレーターが2 組あり、均一にスクラブするよう最適化されています。これらは、C ピラーで自然に発生するボルテックスを打ち消し、リアスクリーンの特殊な形状とも相乗効果を発揮します。

ヘッドライトを異例の場所に配置したことで、DRL の上下に2 個のエア・インテークを設けることが可能となりました。上のインテークは、フロント・エアロブリッジ下に排出される複雑なブローン・システムに空気を送ります。対して下のインテークは、ブレーキの冷却システムに空気を導くために使われています。上下エア・インテーク外側の垂直面のデザインには、ここで取り込む空気の量を最大化するエア・キャッチャーの働きがあります。

さらに下には、ラジエーター用インテークがあります。前から見て右側から入った空気は、非常に荒れた路面でも極上の快適性を約束するアクティブ・ダンパーのラジエーターに送られます。左側は、トルク・ベクタリング電子制御ディファレンシャルであるパワー・トランスファー・ユニット(PTU)サーキットのラジエーターに空気を供給します。最後に中央のインテークからの冷却エアは、車内温度を快適に保つ空調サーキットのコンデンサーと、アイコニックな自然吸気V12 エンジンのオイルと冷却液用ラジエーターで使われます。


ビークルダイナミクス

Purosangue の動的性能の開発で重点となったのは、世界的にまったく前例のないモデルを生み出すことでした。使い勝手と快適性の水準で市場の頂点に立つと同時に、フェラーリが誇るビークルダイナミクスとパフォーマンスの面でも、他のラインアップに匹敵することを目指したのです。

Purosangue は、世界初のユニークで革新的なシステムを備えます。マルチマティック社のトゥルー・アクティブ・スプール・バルブ(TASV)システムで可能となった、フェラーリ・アクティブ・サスペンション・テクノロジーです。この新サスペンション・アーキテクチャーは、市場の他のソリューションに対して無数のアドバンテージがあります。電気モーター駆動と高精度のスプール・バルブ油圧式ダンパーを、完全に統合された1つのシステムとして組み合わせているからです。電気モーターは、伝統的なアダプティブ・アクティブ・システムやセミ・アクティブ・システムより、減衰力に大きな権限を持ち、高い周波数でボディとタイヤをアクティブに制御できます。

フェラーリのアクティブ・サスペンション・システムのひとつの強みは、TASV 48V モーター・アクチュエーターがダンパーのストローク方向に力を加えるスピードです。このために、高出力密度の3 相ブラシレス・モーターを、フェラーリが共同で開発しました。このモーターは、スロットレス型ステーター・コイル技術の採用で、径を最小化し、出力密度を最大化しています。機械的には、モーターからの力の伝達方法が斬新です。油圧式ダンパーのピストンロッドに直接接合したツインリード型ボールねじで伝達するため、高周波数での反応が可能となり、摩擦、慣性、パッケージスペースを低減できました。

アクティブ・サスペンション・システムは、前後左右の各サスペンションに取り付けられた加速度計や位置センサーを活用し、サイド・スリップ・コントロール(SSC)8.0 および6w-CDS センサーと連動して働きます。フェラーリ独自の制御ロジックが、マルチマティックの供給するTASV ダンパーと連携して、完全にアクティブなサスペンション・システムのあらゆるパフォーマンス要素を電子的に制御します。

この技術は、コーナリング性能を最大化します。ロール剛性を継続的に変えながら配分し、ロールセンターをアクティブに下げ(最大10 mm)、タイヤに作用する横力やオーバーステア/アンダーステアのバランスにメリットをもたらすからです。また、ボディの動きとタイヤの動きの両方を高周波で制御するので、ロールとピッチを抑えると共に、路面の凹凸も吸収します。

アクティブ・サスペンション・システムに加え、Purosangue は、新世代のフロント・サスペンションを備えます。セミバーチャルのハイ・ウィッシュボーン式で、ロワー・ウィッシュボーンはハブキャリアと2 点で連結します。このソリューションによって、上下のアームが作り出すキングピンの仮想軸を延長して地面と接する点と、タイヤの接地中心点とが非常に近くなり、この2 点の距離、つまりスクラブ半径が劇的に縮小されました。したがって、路面の凹凸やブレーキングに対するステアリング・ホイールの過敏さが軽減されています。

Purosangue は、ボッシュ?と共同で設計した新ABS"evo"コントローラーを備え、296 GTB でデビューしたブレーキ・バイ・ワイヤ・システムと統合されています。Purosangue では、低グリップ路面やマネッティーノの全セッティングに対処できるよう、機能の開発がさらに進められ、どんな路面状況でも最適なパフォーマンスを常に実現します。この新コントローラーは、電子制御スタビリティ・コントロール(ESC)からの情報を活用するため、ブレーキングで4 輪のスリップ目標を決定する際に、はるかに正確に車速を推定できます。正確性が向上すれば、4 輪に働く前後方向の力をいっそう活用できます。また、正確な推定によって、目標値前後での操縦が最大限に増えるため、例えば舗装コンディションといった自然な変動によるばらつきが低減されます。

EPS をベースにしたグリップ推定システムは、296 GTB のために開発されましたが、雪上や低グリップ路面でのドライビングに合わせて、さらに磨きがかかりました。ECU のデータとSSC 8.0 が算出したスリップアングルを使って、ステアリング操作中にタイヤの接地面と路面の間に発生するグリップレベルを、制御ロジックが算出します。したがって、限界域で走行していないときも正確な推定が可能となり、グリップの自己学習機能がスピードアップして、グリップ推定の正確性も、あらゆるグリップ状況で高まりました。

Purosangue では、GTC4Lusso のために開発された4RM-S システムがさらに進化しました。そこに、SF90 Stradale の4WD システムで制御ロジックに採用された技術革新と、812Competizione の新たな独立4WS が加わっています。したがって、加速中のコーナリングでは、フロント・アクスルのトルク・ベクタリングと、E-Diff によるリア・タイヤへのトルク配分、4WSによって生み出される横力とを組み合わせて、最適なヨー・マネージメントを行います。この新たな電子制御マネージメントによって、各アクチュエーターのポジションを制御する精密性が著しく向上し、車軸の反応時間が短縮され、結果的に発生横力の正確性が高まっています。

こうしたテクノロジーをすべて統合するのが、8.0 バージョンのサイド・スリップ・アングル・コントロール(SSC)で、共通言語を全コントローラーに供給して、パフォーマンスを最大化する最善の方法を特定します。それだけでなく、SSC 8.0 は、車両の前後左右で働く全制御システム(ステアリング、トラクション、垂直方向の制御)を統合して、新ABS evo との自然な相乗効果を生み出すのです。

Purosangue では、特有のパフォーマンス目標として、ドライビングの興奮を示す前後方向の新しい客観的指標が特に重視されました。加速性能とレスポンス時間は伝統的に絶えず向上しますが、それに加えて、マニュアル時の同一ギアでの中間加速に磨きをかけたのです。優れた柔軟性とピックアップが強調されている点は、間違いなくPurosangue のユニークな特徴です。

Purosangue は新8 速DCT のポテンシャルを、機械面、パワー、制御など、あらゆる角度でフルに活用しています。ギアレシオは、SF90 Stradale や296 GTB と同じです。タイヤが大きいため、以前のフェラーリ4 シーターよりギア比を低くするこのソリューションで、加速時のパフォーマンスがいっそう滑らかになりました。8 速は、長距離ドライブでよりリラックスした走りができる設定です。

トランスミッション・ソフトウェアによる制御で、パフォーマンス面のメリット(シフトアップ・シフトダウンの所要時間を約18%短縮)に加え、"セーリング"機能が加わりました。これは、エンジンとギアボックスを自動で切り離して、トラクションが不要な状況で(したがってブレーキング時も含む)、いっそうスムーズな走りを保証します。Purosangue のマネッティーノ戦略も、このプロジェクトの仕様に合わせて再設計されています。

Purosangue は、驚くほど幅広いADAS(先進運転支援システム)を標準で装備します。その多くは、ボッシュ?と共同で開発されました。アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、自動緊急ブレーキ・システム(AEB)、オート・ハイビーム(HBA/HBAM)、レーン・デパーチャー・ウォーニング(LDW)、レーン・キープ・アシスト(LKA)、ブラインドスポット・ディテクション(BSD)、リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)、トラフィックサイン・レコグニション(TSR)、眠気や脇見を検知するドライバー・ドラウジネス&アテンション(DDA)、リアビュー・パーキングカメラ(NSW)が含まれます。

フェラーリに初めて搭載された機能として、ヒル・ディセント・コントロール(HDC)があります。急な下り坂で、ダッシュボードに表示される車速の維持とコントロールを助ける機能です。HDC を稼働させると、ディスプレーで設定された車速を超えないようにブレーキ・システムが制御されます。アクセルペダルを使って、ドライバーの操作を優先させることもできます。


スタイリング

Purosangue は市場に新セグメントを作り出し、そこにまったく前例のない新たなフロンティアを切り開きました。ユニークでモダンなアーキテクチャーによって、Purosangue は汎用性の高いモデルとなり、フェラーリならではのパフォーマンスやドライビング・プレジャーと、並ぶもののない快適性が融合しています。跳ね馬のDNA を元にして、マラネッロはもとより自動車界全体にとっても革新的なモデルを生み出すことは、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリングセンターにとって、途方もない課題であると同時に、刺激的な挑戦でもありました。

Purosangue の名は、このモデルのアーキテクチャーを見事に表しています。アスリートを思わせる滑らかなエクステリアは、市場の他の4 ドア4 シーターと一線を画します。また、ミッドフロントに搭載する自然吸気V12 エンジンと、極上の快適性やラグジュアリーな広さ、完璧なしつらえのキャビンが組み合わされています。目を見張る速さと敏捷性だけでなく、乗車した4 人全員が並外れた快適性を味わえる車内空間も提供するのです。


エクステリア

Purosangue のボディワークは、無駄を削り取り、巧みに造形して、ユニークなフォルムとなりました。デザインは、上下二つにはっきり分かれています。より技術的なアンダーボディと、しなやかな曲線を描く迫力あるアッパーボディです。この明確な違いによって、上部のボリュームがホイールアーチの上に浮かんでいるような印象が強まっています。

Purosangue のボリュームは、フェラーリの中でも特にパワフルなスポーツカー以上に迫力がありますが、スタイリングによる高さの処理によって、全体として軽快な印象です。同時に、力強いスタンスとするために、フェラーリ・スタイリングセンターは、大胆なまでに独創的なフォルムとすることを選びました。

Purosangue のフォルムは、驚くべきエアロダイナミクスをよく示し、強調する彫刻として考案されました。その証拠は様々なディテールに見て取れ、フロントと側面をポンツーンのように結ぶエアロブリッジがその1 例です。あらゆる空力エレメントが、独特の彫刻的外観をさらに磨き上げ、スタイリング上のメッセージを強調するチャンスとなりました。軽快さとコンパクトさというコンセプトはルーフにも適用され、その特徴を堂々たるリア・フェンダーが強調し、全体のシルエットをユニークなバランスにしています。

車両の前面は、後方へシームレスに流れて側面につながり、複数の階層から成る水平を基調としたダイナミックなデザインとなっています。Purosangue にフロントグリルはありません。その代わりに、ディヘドラル形状が下部に浮かび、よりテクニカルな美しさを醸し出しています。2 個のシェルが1 個のディスク形状を作り、そのスロットにカメラとパーキング・センサーを内蔵して、車両のフォルムとシームレスに融合させています。ボンネット両端には、DLR を間にはさむエア・インテークがあり、これが側面上部へと溶け込んで、スタイリング・テーマを強調しています。そのため、Purosangue のフロントでは、ヘッドライトよりブローン・エアロ・ダクトがスタイリングの中心を占めています。

ディスクの上部を支えるエレメントは、エンジン用ラジエーターを冷却する中央エリアと、中央のスプリッターを挟みこむ2 個のサイド・セクションで構成されます。テクニカルなデザインのラジエーター・グリルの上には、長い彫刻的なボンネットが伸び、緩やかな丸みを帯びた盛り上がりが波のように広がって、ウィング形状へと流れ込みます。左右のエアロブリッジは、ボンネットとボディ側面の継続性を感じさせます。

エアロブリッジのテーマは、そのフォルムがサイドに沿って走り、ボディ側面を特徴づける主要なスタイリング・テーマとなっています。これが作り出すディヘドラル形状は、力強いリアのふくらみまで続きます。ホイールアーチ・トリムは、ボディワーク下のPurosangue の第2 の肌を露出させています。機能的・技術的要素がビジュアル上の第2 層となり、宙に浮くクーペのような印象を作り出しています。

前後のドアを同時に開くと、ドアを閉じた状態で想像していた以上にインテリアが広く見えます。これは、ルーフのプロポーションをコンパクトに抑えるために、細部まで惜しみない努力を注いだ結果です。

リアのふくらみはテールへとダイブし、水平のカットラインの両端にテールライトが組み込まれています。その下には、2 個のスクープと2 個のベントが組み合わされています。堂々たるディフューザーと大きなリア・フェンダーは、テールの幅の広さを印象づけ、このボリュームの中に、スポーティーなキャビンが低く埋め込まれています。キャビンのコンパクトなサイズは、このモデルにスポーティーな印象を与える上で不可欠でしたが、車内のスペースと快適性は犠牲にしていません。横から見たキャビンは、傾斜したフロント・ウィンドウで特徴づけられています。A ピラーがカーブを描きながらリア・スポイラーへと流れ、その下に二つの非常に特徴的な山があり、このテーマがリアスクリーンへと続きます。

Purosangue のために開発された専用の鍛造ホイールは、SF90 Stradale のホイールと同じ空力コンセプトに基づいており、放射状エレメントの外縁部が、ホイールアーチからの高温の空気の排出を促します。このエアロパーツは立体的に浮き上がり、エレガントなダイヤモンドカット仕上げで引き立てられています。


キャビン

Purosangue のキャビンは、前例のない車内スペースと快適性を兼ね備えたフェラーリ4 シーターとするため、空間と装備を細部まで徹底的にデザインすると共に、使用する素材も慎重に選び抜くことが求められました。キャビンはルックス、雰囲気ともに、極めてエレガントでスポーティーなラウンジを思わせます。ドアを開けると、驚くほどゆったりとしたスペースが目の前に現れます。同様に驚かされるのが、インテリアの洗練された高級感で、エレガンスとモダンさを感じさせます。モダンなデザイン要素は、フェラーリの誇るGT スポーツカーの美学と見事に調和しています。使用可能なスペースを最大限に確保し、人間工学にかなうものとするため、すべて意図的にコンパクトなフォルムとなっています。

ドライバーのコックピットは、SF90 Stradale をインスピレーションとしており、パッセンジャー側はほぼ対称を成しています。そのため、前席のパッセンジャーはかつてないほど強い感情的つながりを味わえます。これをさらに促進するのが10.2 インチのディスプレーで、ドライビング・エクスペリエンスへの関与に必要なあらゆる情報を提供します。既に他のラインアップモデルで採用されているように、Purosangue もインターフェースは完全なデジタルです。

Purosangue のインテリア・アーキテクチャーは、デュアル・コックピット・ダッシュボードのコンセプトをベースに、これを後部へ拡大し、繰り返して、機能、ボリューム、素材、カラーが異なる4 つのエリアを作り出しています。この原則によってキャビンが構成され、装備が水平方向にシームレスに結びついているので、空間がより広く感じられると共に、軽快でダイナミックな印象も維持されています。

中央で合流して乗員を包み込むラップアラウンドのフォルムは、内張りを施したエリアと機能的・技術的エリアとの相互作用も相まって、フロントでもリアでも、デュアル・コックピットのコンセプトを強調しています。快適性に関連する操作は、ダッシュボード中央部分に隠されたロータリー型インターフェースで行い、後席の乗員も、第2 のロータリー型インターフェースで同じ機能にアクセスできます。

センタートンネルは、ラグジュアリーなトリムがあしらわれ、金属のギアシフトゲートで占められたY字状の構造エレメントと組み合わされています。これほど目立ちませんが、パワーウィンドウのボタンや、エレガントな2 個のカップホルダー、ワイヤレス充電ゾーンと組み合わされたキー・コンパートメントも、美しくデザインされています。下部にはちょっとした小物を入れるコンパートメントがあり、カラーと素材によって、フロアとシームレスにつながっています。コックピットを拡張する要素としては、フェラーリがこれまでに提供した中で最もパワフルなオーディオ・システムが組み込まれています。快適性にフォーカスした内張りを施したエリアには、アームレストとドアハンドルも含まれます。

フェラーリ史上初めて、個々に調節可能な独立した4 個のシートを搭載します。快適性にフォーカスしたコンポーネントを装備し、様々な密度のフォームを活用しており、新サスペンション・システムの効果も相まって、前例のない快適性が実現し、そのレイアウトは、フェラーリのデザインを象徴するスポーティーさとエレガンスを感じさせます。後部シートはヒーター付きで、個別に調節やリクライニングができ、完全に前方に倒せば、ラゲッジ容量が格段に増加します。

フェラーリは、ラグジュアリーを追求しながらも、環境やサステナビリティーに対する責任から一瞬も目をそらしませんでした。Purosangue では、車両全体にサステナブルな素材を幅広く使用し、組み合わせの可能性が広がりました。ローンチ時のトリムの85%は、サステナブルに製造されたものです。ルーフ・ライニングのファブリックはリサイクルのポリエステル、カーペットは、海から回収された漁網をリサイクルしたポリアミド製、新たな組成のアルカンターラ?にも、リサイクルのポリエステルが使われています。実のところ、再生リサイクルのポリエステルが68%を占めるこの特別なアルカンターラ?を使用する車両は、Purosangue が世界初なのです。アルカンターラ社はこのバージョンのために、ICEA からリサイクルド・クレーム・スタンダード(RCS)認証を取得しました。これは、原材料から最終製品までを追跡し、リサイクル素材を検証するトップクラスの国際的認証です。

フロアのトリムに並外れた強靱性と耐久性を求めるオーナーは、伝統的なカーペットやレザーではなく、軍服に使われる防弾性能のあるファブリックを選ぶこともできます。また、非常にエレガントで現代的なダークブラウンのセミアニリン・レザーも新たに導入されました。最後にオプションとして、微細な銅線を織り込んだ新しいカーボン・ファイバーがあり、これをトリムに使えば、伝統的なカーボン・ファイバーが極めて洗練された印象となります。

Purosangue では、Burmester?の3D ハイエンド・サラウンド・サウンドシステムも標準装備としてフェラーリにデビューを飾りました。このオーディオ・システムは、革新的技術によって、低周波から高周波まで究極のパフォーマンスを実現しています。プロダクションカーとして初めてリボン・ツイーターを搭載するほか、密閉型キャビネットに収められたサブウーファーによって、バスの明確さ、パワー、スピードが究極のレベルに達し、息を飲む低周波音と組み合わされます。3D サウンドに加え、プリセットも豊富で、没入感のあるエキサイティングで高品質なサウンド・エクスペリエンスを提供します。このモデルのユニークな個性はもちろん、マラネッロ生まれの傑作モデルの特質とぴったり呼応しています。

ローンチ・カラーの中でも、このモデルのため特別に開発されたNero Purosangue は、特定の照明条件で、非常に強烈な赤の反射を生み出す顔料が使われており、車両のフォルムを美しく引き立てます。


オプション装備およびパーソナライゼーション

Purosangue には、すべてのオーナーが快適性とパフォーマンスの完璧なバランスを実現できる装備やパーソナライゼーションの選択肢が幅広く取りそろえられています。エクステリアとインテリアのカラーは、このモデル専用の数種類を含め、膨大な数に上ります。さらに、フェラーリのラインアップはもとより、市場全体でも初めての革新的ソリューションが取り入れられています。

フェラーリモデルでは初めて、ルーフをパーソナライズするチャンスがオーナーに提供されます。標準のカーボン・ファイバー製ルーフの代わりに、フルレングスのエレクトロクロミック・ガラス製ルーフを選択できるのです。このガラスの下面をコートする電気感光性フィルムは、わずかな電流で着色レベルが変わるので、キャビンを日光で満たすことも、必要な箇所に日陰を作ることもできます。

フロントのマッサージ機能付きシートは、10 個のエアバッグを内蔵し、各部位を心地よくもみほぐします。マッサージは5 種類あり、3 段階の強さから選択できます。

Purosangue には、フェラーリモデルとしてはまったく初めての機能である空気質センサーも用意されています。車外の空気をチェックして、PM2.5 までの微粒子を車内に入れないフィルターを活用し、コンピューター制御で空気を再循環させて、キャビンの空気の質を高めます。また、Android Auto およびApple CarPlay の互換性を初めて標準装備としました。伝統的なビルトインのナビゲーション・システムの代わりとして使用できます。


7 年間純正メンテナンス・プログラム

卓越した品質基準と、さらなるカスタマー・サービスの充実を目指すフェラーリでは、Purosangueに7 年間の純正メンテナンス・プログラムをご用意しております。フェラーリの全ラインアップを対象としたこのプログラムは、最初の車両登録から7 年間、お客様のフェラーリのパフォーマンスと安全性が最高の状態で維持されるべく、すべての定期メンテナンスを保証するフェラーリならではのサービスです。この特別なサービスは、認定中古車を購入されたお客様にもご利用いただけます。

定期メンテナンス(20,000 km ごと、もしくは毎年1 回。走行距離制限なし)では、純正スペアパーツおよび最新の診断テスターを使い、マラネッロのフェラーリ・トレーニング・センターで研修を受けた有資格者による詳細な検査を受けていただけます。これは純正メンテナンス・プログラムの魅力のひとつにすぎません。このサービスは、全世界の市場で展開する正規ディーラー・ネットワークにてご利用いただけます。

マラネッロで製造された車両が誇る優れた性能と素晴らしさの維持を願うお客様に向けて、フェラーリはこれまで展開してきた幅広いアフターセールス・サービスに加えて、この純正メンテナンス・プログラムを導入し、さらなるサービスの向上に努めています。


Purosangue – 技術諸元

パワートレイン

タイプ V12 - 65°、ドライサンプ

総排気量 6496 cc

ボア・ストローク 94 mm x 78 mm

最高出力*1 725 cv / 7750 rpm

最大トルク 716 Nm / 6250 rpm

最高許容回転数 8250 rpm

圧縮比 13.6:1

比出力 111 cv/L

サイズ&重量

全長 4973 mm

全幅 2028 mm

全高 1589 mm

ホイールベース 3018 mm

フロント・トレッド 1737 mm

リア・トレッド 1720 mm

乾燥重量*2 2033 kg

乾燥パワーウェイトレシオ 2.80 kg/cv

重量配分 49% フロント / 51% リア

燃料タンク容量 100 L

トランク容量 473 L

タイヤ&ホイール

フロント 255/35 R22 J9.0

リア 315/30 R23 J11.0

ブレーキ

フロント 398 x 38 mm

リア 380 x 34 mm


トランスミッション&ギアボックス

8 速F1 DCT

電子制御

SSC 8.0: 4RM-S evo、フェラーリ・アクティブ・サスペンション・テクノロジー、F1-Trac、グリップ推定2.0 付きABS 'EVO'、ECS

パフォーマンス

最高速度 > 310 km/h

0-100 km/h 3.3 秒

0-200 km/h 10.6 秒

100-0 km/h 32.8 m

200-0 km/h 129 m

燃料消費量&CO2 排出量

ホモロゲーション取得申請中


*1 オクタン価98 のガソリンを使用、動的ラム効果5 cv

*2 軽量オプション装備車