2022年9月28日マラネッロ発 跳ね馬のワンオフシリーズ最新作、Ferrari SP51 が発表され、マラネッロの全製品の中で最もエクスクルーシブなグループに加わりました。たったひとりのクライアントの指定に従って作り込まれた、唯一無二の完全なビスポークモデルで、フェラーリが誇る幅広いカスタマイゼーションの頂点に位置します。
SP51 は、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリングセンターがデザインし、812 GTS のプラットフォームをベースに、そのレイアウト、シャシー、エンジンを受け継いだフロントエンジンV12 スパイダーです。ひと目で分かるように、この美しい新ワンオフモデルは、ルーフが一切存在しない、あらゆる意味で真のロードスターである点を最大の特徴とします。それがスポーティーな性格を強調しており、ビジュアルで魅了するのはもちろん、オープンエア・ドライビングの興奮でも心を奪うモデルであることをうかがわせます。
当然ながら、SP51 のエアロダイナミクスは、CFD(数値流体力学)シミュレーションや風洞実験、動的テストによって精密に磨き上げられています。その結果、キャビン内部の究極の快適性が保証され、音や風に関する快適性も、ベースとなったモデルと同じ水準に達しています。
SP51 のスタイリングは、ボディ表面のシームレスでたくましい起伏によって、力強さと美しい調和を感じさせます。そのフォルムは、モダンであると同時にしなやかで官能的です。これには、むき出しのカーボン・ファイバーをエクステリアとキャビンに幅広く採用したことも大きく貢献しました。特に、2個のベントをダイナミックに取り囲むボンネットのトリムが目を引きます。
SP51 でもうひとつ魅力的なのが、3 層コートの新色「ロッソ・パッショナーレ」です。この1 台のために特別に開発されたカラーで、エレガントでありながら堂々たる風格も感じさせます。こうした印象をさらに強めているのが、伝説の1955 年Ferrari 410 S をインスピレーションとした青と白のリバリーで、ボディ全長にわたって続くだけでなく、インテリアにも反映されています。
フロントには、特別にデザインされたヘッドライトによって、ひと目でそれと分かる独特の力強いアイデンティティーがあります。もうひとつ注目すべきなのが、この1 台のみの特別なホイールです。各スポークはカーボン・ファイバー製のウィング形状を持ち、進行方向の面には、トーンの異なる洗練されたダイヤモンドカット仕上げが施されています。
リアで主役となるのは、スポイラー下に配置されたテールライトによるアーチ形のテーマです。キャビンのすぐ後ろにある左右のフライング・バットレスは、2 個の深いカーボン・ファイバー製スクープによって、視覚的印象がやわらげられています。この2 個の要素の間を横断するカーボン・ファイバー製ウィングは、側面がバットレスに折り重なっており、その結果、どこかタルガトップを思わせます。フライング・ブリッジでロールフープをエレガントに隠したこのソリューションは、1960 年代初頭のフェラーリのスポーツ・プロトタイプへのオマージュです。
このように細部まで丹念に磨き上げるプロセスには、クライアントも全段階で関与しました。その頂点といえるのがキャビンで、クラフトマンシップと創造性が目もくらむほどの高みに達しています。キャビンのパーソナライゼーションでは、二つのアイデアが柱となりました。アルカンターラ®トリムのメインカラーに、エクステリアのためのカスタムメイドである「ロッソ・パッショナーレ」を選んだことと、前後を貫くエクステリア・リバリーをキャビンにも拡大したことです。白と青のストライプは、バルクヘッド上のダッシュボード中央とセンター・トンネルにもあしらわれ、ステアリング・ホイールのステッチにも採用されており、エクステリアとインテリアにシームレスな連続性を感じさせます。これには、ロードスターならではのアーキテクチャーも重要な役割を果たしています。
このほか、ドアパネルの特別仕上げとダッシュボードの下部、シートのサイドにあしらわれたKvadrat®の青いインサートと白のクロスステッチも、リバリーを反映したものです。また、光沢のあるカーボン・ファイバー製トリムがインテリアに幅広く採用され、組み合わされたネロ・モモ・オパーコのエレメントと極めてよく調和しています。こうしたビジュアルが生み出すスタイリッシュでエレガントな品格を、何カ所かの白い刺繍がさらに強調しています(跳ね馬と車両のロゴは、ステアリング・ホイールのリム下方にもあしらわれています)。
フェラーリのワンオフ、SP51 は、有数のフェラーリ・コレクターでもある台湾在住の長年のクライアントのためにデザインされました。50 年ぶりに復活したマラネッロのフロントエンジンV12 スパイダーをロードスターへと変貌させることに成功し、その大胆なスタイリングには、ひと目で心を奪う力があります。それと同時に、ベースとなった812 GTS の特徴的なエレガンスも見事に受け継いでおり、さらに限界を押し広げることで、オープンエア・ドライビングのまったく新しい楽しみ方を提示しているのです。